はじめに:実家の浴室、「危ないな」と感じていませんか?
離れて暮らすご両親や、同居されているご家族の入浴シーン。「滑りやすい床で転ばないだろうか」「高い浴槽をまたぐ時に、足元がふらついていないだろうか」。そんな風に、ヒヤッとしたり、日々の心配事が増えたりしていませんか?
実はその心配は、決して杞憂ではありません。消費者庁の調査でも、高齢者の家庭内での不慮の事故は、最も多くの時間を過ごす「居室」に次いで、「浴室・脱衣所」で多く発生しているというデータがあります。濡れて滑りやすい床、大きな段差、そして冬場の急激な温度差…。私たちが長年当たり前だと思ってきた浴室には、身体機能が変化してきた高齢者にとっては、多くの危険が潜んでいるのです。
この記事では、大切な家族がこれからも安全に、安心して毎日のお風呂を楽しめるように、「浴室バリアフリーリフォーム」の具体的なポイントを徹底解説します。さらに、多くの方が気にされる費用や、その負担を大きく軽減できる公的な補助金制度の活用法まで、専門家の視点から詳しくご紹介します。
浴室の危険をなくす!バリアフリーリフォーム5つの必須ポイント

まず、具体的にどこをリフォームすれば、浴室の安全性を高めることができるのでしょうか。数多くのリフォーム実績から見えてきた、最低限押さえておきたい5つの必須ポイントを解説します。
① 出入口の段差解消と「引き戸」への交換
昔ながらの浴室は、脱衣所との境に数センチの段差があるのが一般的です。しかし、加齢と共にすり足歩行になりがちな高齢者にとって、このわずかな段差が転倒を引き起こす大きな原因となります。リフォームではこの段差をなくし、床をフラットにすることがバリアフリーの基本中の基本です。
また、扉のタイプも見直しましょう。旧来の「開き戸」は、ドアを開ける際に体を引いてスペースを確保する必要があり、不安定な姿勢になりがちです。少ない力でスムーズに横にスライドできる「引き戸」や、開閉に必要なスペースが少ない「折れ戸」に交換することで、車椅子を利用する場合の出入りも格段にしやすくなります。
② 「滑りにくい床材」への変更
石鹸やシャンプー、お湯などで濡れた床は、非常に滑りやすく、転倒事故のリスクが最も高い場所です。最近のユニットバスでは、床の表面に水の流れを良くするための微細な凹凸が加工されており、滑りにくくなっているのが標準仕様です。
代表的なものに、TOTOの「お掃除ラクラクほっカラリ床」などがあります。こうした高機能な床材は、滑りにくいだけでなく、断熱性のあるクッション層を持つことで、冬場に足裏が触れた際の「ヒヤッ」とする感覚を大幅に軽減。快適性の向上と、急な温度変化による体への負担軽減という二つの効果が期待できます。
③ 浴槽の交換(またぎ高さの改善)
浴槽への出入りは、浴室での事故が最も多い危険な動作です。特に、深さが特徴の昔ながらの和式浴槽は、縁の「またぎ高さ」が60cm以上あるものも珍しくなく、足を高く上げる際にバランスを崩しがちです。
リフォームでは、このまたぎ高さを40~45cm程度に抑えた、浅型の浴槽に交換するのが主流です。また、浴槽の内部に半身浴もできるステップ(踏み台)が設けられているタイプを選べば、そこを足場にして安全に出入りができる上、立ち座りの動作も楽になります。
④ 適材適所への「手すり」の設置
「転ばぬ先の杖」として、最も効果的なのが手すりの設置です。ただし、やみくもに設置しても意味がありません。「立つ・座る・歩く・またぐ」という一連の動作をスムーズに補助する位置に取り付けることが重要です。
- 出入口の縦手すり: ドアの開閉や段差をまたぐ際の支えに
- 洗い場での縦手すり: 椅子からの立ち座りの支えに
- 浴槽周りのL字型手すり: 浴槽への出入り(縦部分)と、浴槽内での姿勢保持(横部分)の支えに
ここで絶対に忘れてはならないのが、手すりを取り付ける壁の「下地補強」です。一般的な浴室の壁(石膏ボードなど)に直接手すりを取り付けても、体重をかけた際にビスごと壁から抜け落ちてしまい、かえって大事故に繋がります。壁の内部に頑丈な補強板を入れる専門工事が不可欠です。
⑤ ヒートショック対策(浴室暖房乾燥機の導入)
冬場、暖かいリビングから氷のように冷えた浴室へ移動した際、急激な温度変化に体が驚き、血圧が乱高下する現象を「ヒートショック」と呼びます。これは心筋梗塞や脳卒中を引き起こす非常に危険な状態で、年間1万人以上がヒートショックに関連した入浴中の急死で亡くなっていると推計されています。
この命に関わるリスクを回避するために、入浴前に浴室全体を暖めておける「浴室暖房乾燥機」の設置は、今や必須の安全対策と言えるでしょう。
気になる費用は?工事別の相場と賢い補助金の活用法

安全のためのリフォームの重要性は分かっても、やはり気になるのは費用です。ここでは工事別の相場と、その金銭的負担を大きく軽減してくれる公的な制度について詳しく解説します。
工事内容別の費用相場
リフォーム費用は、選ぶ製品のグレードや現在の浴室の状況によって変動しますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 手すりの設置(1~2ヶ所、下地補強含む):3~5万円
- 出入口ドアの交換(引き戸・折れ戸へ):10~20万円
- 滑りにくい床材への変更(ユニットバスの床のみ):10~15万円
- またぎやすい浴槽への交換:20~40万円
- 浴室全体を交換(バリアフリー対応ユニットバスへ):80~150万円
【最重要】「介護保険」の住宅改修費を活用する
ご家族が「要支援1・2」または「要介護1~5」の認定を受けている場合、介護保険の「住宅改修費支給制度」を利用できる可能性があります。これは、上限20万円までの対象工事に対し、かかった費用の7~9割(所得に応じて変動)が支給される、非常に手厚い制度です。つまり、20万円の工事を行った場合、自己負担は2万円~6万円で済む計算になります。
【対象となる主な工事】
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
この制度を利用するには、工事を始める前の事前申請が必須です。担当のケアマネージャー様と相談の上、専門業者による見積書や改修理由書などの書類を揃えて市区町村の窓口に提出する必要があります。
お住まいの自治体の補助金も必ずチェック
介護保険とは別に、各市区町村が独自に高齢者向けの住宅改修補助金制度を設けている場合があります。例えば「福岡市 高齢者住まい・暮らし支援事業」のように、バリアフリーリフォームを対象とした助成金が存在することがあります。
介護保険と併用できる場合もあるため、「(お住まいの自治体名) 高齢者 住宅改修 補助金」といったキーワードで、ぜひ一度検索してみてください。
補助金申請もサポート!福岡の浴室バリアフリーリフォームはWorkUdaへ

浴室のバリアフリーリフォームは、ただ工事をするだけでなく、ご本人の身体状況に合わせ、公的な制度を賢く活用することが成功の鍵です。
ケアマネージャーと連携し、最適な改修プランをご提案
株式会社WorkUdaは、介護保険を利用した住宅改修の経験が豊富です。ご本人の身体状況を最もよく理解されているケアマネージャー様と密に連携を取り、利用者様にとって本当に必要な改修プランを、制度の範囲内で最大限に実現するご提案をいたします。ケアマネージャー様が作成する「理由書」と、私たちが作成する「工事図面・見積書」の内容をしっかりすり合わせることで、スムーズな申請と、利用者様の生活に即したリフォームを実現します。
煩雑な補助金申請の書類作成も、私たちがサポートします
「制度は使いたいけど、申請手続きが複雑で難しそう…」。そんな不安をお持ちの方もご安心ください。私たちは、介護保険や自治体への補助金申請に必要な申請書、見積書、工事箇所の図面、改修前の写真、改修理由書といった、煩雑な書類の作成サポートも行っております。お客様の負担を最小限に抑え、制度を最大限に活用するお手伝いをいたします。
まとめ
浴室のバリアフリーリフォームは、単なる設備の更新ではありません。それは、大切な家族の安全を守り、日々の暮らしの安心を手に入れるための、非常に価値ある投資です。そして、介護保険や補助金という心強い制度と、それを熟知した専門家のサポートがあれば、費用負担を抑えながら、その安心を実現することが可能です。
福岡でご実家の浴室リフォームをご検討の際は、ぜひ一度、株式会社WorkUdaにお気軽にご相談ください。制度の活用から、最適な工事のご提案、そして確実な施工まで、責任を持ってワンストップでお手伝いさせていただきます。

